■ブンブン日記
*1月第3週*

1月22日(土)雪後曇り
読書の楽しみの一つは、いまはもう会えない人との出会いである。しかし、こうした出会いを通して感じるのは、人はいつも同じような問題で悩み、かつ、その解決法を見出せないままであるということだ。人生は苦であるという釈迦の教えは真実である。

1月20日(木)みぞれ
ブッシュ米大統領の2期目の就任式が行われた。全世界に自由を拡大する決意を表明したと報道されているが、「自由」の中身が問題だ。ブッシュ政権が考える「自由」を軍事力で強制的に押しつけるのは、もはや自由ではない。アメリカが建国以来戦ってきた圧政を全世界に広げるものだ。幸い、ブッシュ政権下の圧制には救いがある。第一に、米国民の半分がこうした圧制に反対していることである。第二に、4年後にブッシュ政権が終わることが憲法で保障されていることだ。権力の破壊を制度化したアメリカ建国の父に感謝したい。

1月19日(水)曇り時々雨
昨年暮れからはまっているハンナ・アーレントが頻繁にアリストテレスを引用するので、最近、アリストテレスの著作(「二コマコス倫理学」、「政治学」)を読んでいる。恐ろしく難解に違いないと決めつけていたが、意外とすらすら読める。2000年以上前に書かれたにもかかわらず、現代においても人間が生きていくうえで出会うあらゆる問題が詳細に論じられている。この2000年間の人類の歩みは一体何だったのか。歴史とは何かと考えさせられる。

1月18日(火)曇り
●午後、福井経済同友会・人づくり委員会が主催した「社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった」の香取貴信さんの講演会に参加する。学校が嫌いでツッパリだった香取さんがディズニーランドの先輩から働くことの意味をどのように教わったか、同僚のライバルから本気で取り組めば夢は実現することを学んだことを豊富なエピソードを交えて楽しく話していただいた。ディズニーランドのガイドとして磨いた香取さんの話術には脱帽である。●続いて、中小企業家同友会が主催した講演会をはしごする。今度は、日産プリンス福井販売の勝田一郎社長による「部下から見たカルロス・ゴーンの経営」というお話だった。なぜ、日産が衰退したかという分析から始まって、カルロス・ゴーンが日産を再建した手法を詳しく紹介された。カルロス・ゴーン社長の下で実際に3年働いた勝田社長が語るカルロス・ゴーンの人物像は超人的かつ人間味溢れるリーダーで、圧倒される思いで聞いていた。

1月17日(月)雨
阪神大震災から10年。10年前のこの日、ニューヨークは大雪だった。早朝、突然、大阪の知人から、「たった今、地震があった」と電話があった。地震発生と同時に国内電話は不通になったが、なぜか試しにかけてみた国際電話がつながったのである。その後、新聞、テレビを通じて日本から伝えられる悲惨な阪神大震災の被災状況にただただ絶句するばかりだった。あれから10年。幸い、大阪の知人も元気に活躍している。阪神大震災10年は、我々が災害と隣り合わせであることをあらためて教えてくれると同時に、不幸にして災害にあっても力を合わせれば必ず立ち直れると勇気づけてくれる。

1月16日(日)雨
読書にふさわしい雨の日だった。自宅に閉じこもって、ハンナ・アーレントの「革命について」を読む。昨年の暮れに「人間の条件」を読んで以来、すっかりハンナ・アーレントにはまっている。●さて、「革命について」は、アメリカ独立革命とフランス革命を扱ったものである。2つの革命を比較・考察して、ロベスピエールの独裁に陥ったフランス革命を批判し、自由が姿を現すことのできる公的空間を保障する政治共同体を創設したアメリカ独立革命を高く評価している。●ところで、アメリカの独立宣言の中に、政府は一人ひとりの「生命、自由、幸福の追求」を保障するためにあるという有名な一節がある。高校時代に初めてアメリカに行った時に、アメリカ建国の理念の中に「幸福の追求」が含まれているのを知って、新鮮な驚きに打たれたことを覚えている。●アーレントによれば、幸福の追求には、私的幸福と公的幸福の二重の意味があり、公的幸福の追求とは、すべての市民に「公務の参加者」になる権利を与えることであるという。公的幸福とはあまり聞かない言葉であるが、これからの政治のキーワードになるような気がする。

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